PureWhite
「ごちそうさま。」
カップをテーブルに置くと
女は振り向いて僕に尋ねた。
「で、あなたは誰なの?」

「知らないの?」
芸能人の悪い癖だ。
いや。でもHeatBeatの
早川トオルだぞ。
驕りじゃなく、本気で吃驚して
聞いてしまった。

「やっぱり、知り合いなの!?」
女がソファから立ち上がった。

「いや。ごめん。
本当に知らない。」

モロに疑いの瞳で女は僕を見る。
「まともな人じゃないよね。
今、昼間でしょ。
仕事にも行かずに、こんな立派な
部屋に住んでるって。」

「今日は休みなんだよ。」
カチンとして答えたが、
金髪に近い色に染められた
頭に女の視線を感じて
無性に居心地が悪かった。
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