PureWhite
「状況を整理しよう。」
僕はそう言って、女の向かいに
腰を下ろした。
「帰る所が…解らない?」
恐る恐る尋ねた。
女は頷いた。

「迷子?」
凄い目で睨まれた。

「名前は?」
途方に暮れた顔で、窓を見て
「こんなことって…ある?」
消え入りそうな声で言った。

「つまり、…記憶喪失?」
「嘘でしょ。」
いや。こっちが聞きたいから。

しばらく沈黙した後、
女は突然頭を下げた。
「お願いします。
なんでもいいから、知ってること
教えて下さい。
私は、どうしてここに居て、
なんで何も覚えてないの?
いったい何があって、
こんなになっちゃってるの?」
< 16 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop