びーだま
「いいだろ?ちょっとだけだからさ?」

「嫌だって言ってっ!!!」

ガツッ…!!

「止めっ…ん――――」

……………ちゃん?

「杏ちゃん?」

我にかえると、朔弥が変な顔で私を見ていた。

無意識に手を払いのけていたらしい…

「あっ…っ。ごめんなさい!びっくりして…」

とっさについた嘘だった。

「いいって。オレが急に掴んだから…ごめんね?」

オレはこの時、杏の傷に触れた気がした。あの深い暗い…――――
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