びーだま
「お疲れさん!
ッホイ。これ、お礼ね。」

手渡されたのは、缶コーヒーだった。

「ありがとう!観月さん。」

カッカッカツ…

「貸してみ?」

缶コーヒーのプルタブが開かずにモタモタしていると、朔弥があっさりと開けてくれた。

「観月さん…さっきの…」

「んっ?なんだっけ?」

オレはそう言って逃げた。誰かの傷に触れたら、自分の傷をえぐられる気がしたから…。

でも、なぜ杏はこんな、オレになついているのだろうか…いや、修にか?

どちらにしても、ふと見せるあの瞳が、頭から離れない…。

こんなに幼い少女が…どうしてあんな瞳をしているのか…何が彼女を傷つけたのか…気になって仕方がなかった…

好奇心ではなく…ただ、どうしようもなく、気になっていた。
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