【短】悲観的恋愛物語
「もしもし!?あ、これ俺の携帯なんですけど!!おい、出た!!」


きっと隣にいる友達に話しているであろう男の子の声。


「あの、すみません!!この携帯どこにあります?今から取りに行くんで、預かっててもらえません?」


早口で話す電話越しの男の子。


「いいですよ。ここ学校の図書室です」


「あ!!図書室か…じゃあすぐ行きますっ」


電話はすぐに切られた。

そしてほぼ同時に図書室の扉が開いた。




少しだけ息を切らした男の子にあたしは驚く。

嘘…!!

和泉一也!?


超モテるその男と関わりたくないって思ってたのに……

もしかしてこの携帯の持ち主って…。


目が合ったあたしに、ゆっくり和泉くんが近付いてくる。


「あれ?渡辺が携帯拾ってくれたの?」


初めてこんな至近距離で顔を見た。

綺麗な顔に思わず見とれてしまう。
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