【短】悲観的恋愛物語
お昼になっても色んな子に問い詰められてた。

てか、噂は広まるばかりだし。


堪えられなくなったあたしは、静かな場所を求めて図書室にやってきた。


『あ…』


目が合って、お互い同じ声を出す。


「渡辺が図書室くるの珍しくね?」


「ちょっとね。ん?じゃあ和泉くんはよくくるの?」


「あーうん。まぁな」


そこにいたのはまた和泉くん。

どんな偶然…?




「ここ座れば?」


そう言って和泉くんが指差したのは、目の前の席。


噂をしてた誰かに見られたら、なんてことも考えたけど……

和泉くんが嫌いなわけじゃないし、断る理由もなく…言われたままの席に腰掛けた。


「いつもここにいるの?」


「え?あー…最近はよくいるかも」


「へー知らなかった…そういえば、ここに携帯忘れてたよね」
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