【短】悲観的恋愛物語
ガラッ


ドクン


扉を開けると、いつものあの席からじっとこっちを見てる人がいた。


息を整えながら、ゆっくりとその人に近付く。


「ここに座れば?」


少しの笑顔であたしを誘導するのは、和泉くん。

言われるがまま、あたしは黙って目の前に座った。




「驚いた?」


「本当に…和泉くんが?」


まだ信じられない。

またあたし、騙されてる?


「ほら、これ」


和泉くんの携帯の画面を見せられる。

それは間違いなく、さっきあたしが送ったメール。


「俺も気付いたときはビビった。最初にここで会ったとき」


じゃあやっぱり和泉くんも、最初はあたしだって知らなかったんだ。
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