【短】悲観的恋愛物語
「気持ち悪くなんない?」


耳元で優しい声がする。


「え?あ、全然。むしろうれしい…」


今までの男に対してあった、気持ち悪い感じは全くしない。

ドキドキし過ぎて息ができないぐらい…。


「じゃあ…キスしてもいい?」


甘く囁く声に、心臓が大きな音を立てる。


「えぇ!?」


「何?そのリアクション」




抱きしめられたままで顔は見えないけど、肩が震えてるから笑ってるって分かる。


「だ、だって和泉くんの口からキスって単語が出ると…」


「おかしい?」


いや、違う…。

何て言うか……


「ドキドキする」


「ぷはっ。素直過ぎるな、渡辺は」


抱きしめていた腕を緩めて、すぐ近くで笑った和泉くん。
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