【短】悲観的恋愛物語
そのまま、傾けた顔が近付いてくる。


整った顔立ちと、澄んだ瞳に体が動かなくなる。


スッと目を閉じると、唇に温かい感覚が広がった。




軽く触れただけの唇が離れると……


「吐かない?」


ニッて冗談混じりで心配してくれる。

小さな気遣い。

和泉くんって本当に……


「優しいね」


「俺?そんなこと言う渡辺の方が、心が綺麗なんだよ」


そう言って笑った後……


「あ、今のはクサかったかも」


って照れながら微笑んだ。


「あはは」


二人で笑い合う、そんなことが堪らなくうれしい。

心がポカポカする…。
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