Sales Contract
…………
夕方6時半。
いつもどおりに仕事を終えてロビーに行くと、村上が待っていた。
「ごめんね、待った?」
「いえ、大丈夫です。
じゃあ行きましょうか」
会社を出て、あたし達は駅前の居酒屋に向かった。
適当に注文を済ませ、乾杯をするとまた村上が深刻そうな表情をした。
なんだか嫌な予感がする。
「先輩、一つ言ってもいいですか?」
「どうぞ」
内心、今あたしは相当おじ気付いている。
「先輩、恋人がいるならそろそろ不倫はやめたほうがいいんじゃないですか?」
見たこともないくらい恐ろしい顔の後輩を見て、身動きがとれなくなった。