Sales Contract
第8話


「ねぇ…お姉さんに今度会わせてほしいんだけど」


勝也くんがそんなことをいきなり言いだしたのは、8月初めのすごく暑い日だった。

彼のその一言により、いとも簡単にあたしの機嫌は悪くなった。


「いきなりどうしたの?」

この3ヵ月間仲良くやってきたのに、それを一瞬にして壊すつもりなのだろうか。

「どうしても、お礼が言いたくて。
それに…なんとなくまだつっかかるから、片付けたくてさ」


お礼ならあたしに言ってよなんて思ってるあたしは、我が儘すぎるだろうか。
でも、そう言われたら断るわけにもいかないので、嫌々ながらもうなずいた。


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