Sales Contract
携帯を手に取って勝也くんの番号を押す。
なんだか無駄に緊張してしまうのは何故だろう。
思い切って通話ボタンを押した。
「もしもし」
一日ぶりの彼の声。
電話越しに聴くだけで、すごく距離を感じてしまう。
なんだか後ろが賑やかそうだ。
「勝也くん、今どこにいるの?」
「今ねぇ、バイト先の控え室。」
公共の場にいるからだろうか、声がいつもより落ち着いていた。
「今から帰れる?
お姉ちゃんが夕飯届けに来たんだけど」
「わかった、すぐに帰るよ」
そう言って電話が切れた。
素っ気ない会話。