Sales Contract
「…ごめんね。
勝也くんのこと何も分かってなかったのに、あたし…勝也くんの親になった気になってた」
「何で千絵さんが謝るの?
俺が言わなかったんだから当然だし、むしろ隠してたし」
にこっと彼が微笑んだ。
それを見たらこっちも自然と笑顔になれた。
「正直あたしは、勝也くんが大学教授になれなくても、教師になれなくても…
もっと言っちゃえば、大学に受からなくてもいいやって思っちゃった」
「あれ…俺、期待されてない?」
「そうじゃなくて。
それは、やっぱりやるとなったら頑張ってほしいよ?
だけど、そういう風に受験に向けて1人で努力してきたことだけでも本当にすごいと思うから…
今、すごく嬉しいの」
それを聞くと、勝也くんは頬を赤らめた。