Sales Contract


「もしもし…?」


あまりに長い沈黙だったので泣いているのか心配になったが、乾いた声ですぐ返事がきたのでほっとした。


「やっぱりそう言うと思ったわよ。千絵はいつも言うこときかないんだから。
とりあえず理由を聞こうかな」


「うん。
勝也くんね、進学を希望してるみたいなの。
それで教師になりたいって言ってる。
お姉ちゃんに憧れたんだって。
入学できるくらいのお金はたまったから、とりあえずまだこの家に居させてほしいって、そう言ったの」


また彼女は黙り込んだ。
だけど今回沈黙を破ったのは彼女の方だ。


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