Sales Contract
「千絵…
あたしの方こそさっきはごめんね。
何だか千絵に秋本くんを取られた気がして当たっちゃったのかも。
彼は特別な生徒だったから…
大人らしくないよね」
彼女の口からこんな言葉が出るとは夢にも思わなかった。
だっていつもお姉ちゃんは大人で余裕があって…
あたしには追い付けない存在だったから。
「まあ、面倒なことはいいじゃない。
全部今までどおり、何も変わらないってことでいいでしょ?」
「うん」
彼女がふっと笑うのが聞こえた。
「じゃあまたね」
「うん、また」
そう言って電話は切れた。