Sales Contract
リビングに戻り、ソファでくつろぐ勝也くんの隣に腰かけた。
「今ね、お姉ちゃんに勝也くんのこと報告させてもらったよ」
勝也くんは一瞬驚いた顔をしたが、咎めることはしなかった。
「そう…何か言ってた?」
「うん、何か質問したい事があればいつでも学校まで来ていいって。
頭がいいから勝也くんならきっと受かるって言ってた」
それを聞くと勝也くんはにこっと微笑んだ。
「ありがと。また話す機会があればよろしく伝えてね」
「わかった。
あとね…」
勝也くんが首をかしげた。
「勝也くんのお陰で、お姉ちゃんに初めてありがとうって言えたの」
彼はよくあたしの言葉を理解していないようだ。
「どういうこと?」
「何でもない。
とりあえず勝也くん、ありがとね」
そう言って彼の頭に手を乗せ、はにかんだ。
「別に、何もしてないし」
つられて彼も微笑んでくれた。