Sales Contract


店に入り、席を選ぼうとしたその時だった…


「あっ」


大きな声に驚いて振り返ると、見慣れた男の子が立っていた。


「勝也くん…」


「ビックリした…こんな所で偶然だね。
あ、そうだ!
今、例の先輩と飲んでたんだけど…よかったら相席してくれない?
先輩のこと紹介したいし…彼女のことも紹介してほしいし」


そう言って勝也くんは村上に微笑みかけた。


「あのね、あたしは後輩と話が…」


「いいですよ、ぜひお願いします!!」


せっかく断ろうとしたのに、調子に乗った村上が割り込んできた。


「ちょっと…」


「とりあえず自己紹介は席についてからにしましょうよ」


いつも以上に作りこんだ笑顔で、村上が急かす。


「仕方ないなぁ…」


正直、初対面の人と話すのは苦手なんだけど…
先が思いやられるわ。


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