Sales Contract
飲み物が届くと、合コンまがいの飲み会が始まった。
「まずは何も知らない後輩の為に、分かりやすくあたしとのことを説明してくれる?」
隣に座る彼に視線をやると、いつもより落ち着いた声で話を始めた。
「はい。
初めまして、秋本勝也です。
えっと…千絵さんは俺の保護者代わりなんです。
親がいなくて住む場所が無いんで、今年の春から同居させてもらってます。
その経緯については面倒なんで、また千絵さんから聞いてください。
それでこちらがバイトの先輩の…」
「渡辺祐介、大学2年です。
秋本がいつもお世話になってます」
「いえ、こちらこそ」
まともに目を見ないで頭を下げた。
「先輩の家は千絵さんの会社の近くにあるから、もしかして会えないかな〜と思ってここに飲みにきたら見事に予想が的中したってわけ。
だいたいこんな所でいいですか?」
勝也くんが村上に顔を向けて笑うと、彼女は顔を赤らめてうなずいた。