Sales Contract
「何よ」
「千絵さんはもっと色々考えてから行動しなきゃだめだって。
小さい頃、知らない人についていっちゃだめって教わらなかった?」
「それとこれとは違う気がするんだけど」
「違わないし。
先輩って言っても男なんだからね?
これが他の奴だったらどうなってたことか…」
ずいぶんと偉そうに言ってるけど、自分も人のこと言えなくないか?
疑問には思ったけど、口には出さなかった。
それに、勝也くんはもとはと言えば住む場所が欲しかったんだもんね。
「わかったわかった。
もう知らない人の家には行かないから大丈夫」
それを聞くとほっとしたのか、いつもの笑顔に戻っていた。
そして細い腕にあたしの体は包まれる。