Sales Contract
「またこの間と同じになっちゃったね。
渡辺くんにはお世話になってばっかりで…ごめんね」
この子は人の世話を焼くのが得意らしい。
「別に何も特別なことなんてしてないじゃないですか」
「いやいや、いっぱいしてもらっちゃった。
お礼なんてほどのもんじゃないけど…たまにはうちにも来てね。
ご飯くらい作るから。
勝也くんもいるし」
「じゃあ、秋本が受かったら合格パーティーでも開きましょうよ」
可愛らしく笑って彼が提案してきた。
「それ、いい!」
村上も呼んであげたら喜ぶかしら。
「そのためにも、ちゃんと支えてやってくださいね」
「はーい」
まるで勝也くんのお兄さんみたいな口調だ。
「じゃあ、気を付けて」
「おやすみなさい」
手を振って、改札を抜けた。