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「勝也くんて、意外と純粋だったんだね」
彼が話し終えて早々、驚きを隠せずに無意識に口から出た言葉だった。
「ひどいな、意外とスレてないからね」
ヘラヘラと笑いながら返すマイペースさにこちらも思わず笑ってしまった。
「あらためていい子だなって、今の話聞いて思った。環境が環境だったけど、ここまで意思をまっすぐ通せるの、純粋にすごいと思う。年下とか関係なしに尊敬するよ」
そう言ってテーブル越しに頭を撫でてあげると、照れくさそうに微笑んだ。
「ありがと。だから要は、今日こんなことを言い出したのは俺にとったらすごい進歩というか奇跡的なことで。こんな風に気持ちを前に向かせてくれて、千絵さんに感謝してるよってこと。あと、少し自分と重なる部分があって嬉しかった」
どこまでもまっすぐだなあ、この子は。
「こちらこそ、それを言ったらあたしがお礼を言いたいよ。
人に好きだなんて正直に言える日が来るとは思わなかった、しかもお姉ちゃんの元教え子にね。お姉ちゃんもいい先生なんだなあ、それ以上に勝也くんが素直で素敵な人なんだけど」
心の内や昔の話を共有したら、以前よりも素直になるのがたやすくなった気がした。