Sales Contract



酔いも回って会話を弾ませていると、気づいたら用意していたお酒が無くなっていた。

時計を見るとまだ21時前。早い時間から飲み始めると時間が経つのがゆっくりに思える。

「あ、何か飲み物買ってきましょうか」

気の利く渡辺くんが口を開いた。

「これ以上飲むと飲みすぎかな」

年々二日酔いをしやすい体質になってきたのは薄々気づいていた。

「そしたらソフトドリンク買ってきます」

すぐにそのセリフが出てくるのがさすがだった。

「じゃあ俺も…」

渡辺くんのあとに続いて勝也くんが立ち上がった。
きっと男の子2人で話したいことでもあるんだろう。

ここは大人しく甘えておくか。

「ありがとう。そしたらデザートがあるからコーヒーか紅茶がいいな」

「わかりました」

部屋を出る彼らの背中を見送り、一呼吸つくとさらに酔いが回ってきたような気持ちになる。
急なお客様で、気を張っていたのかもしれない。

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