Sales Contract
「先輩、めずらしく酔ってますね。いつも介抱されるほうなんで、今日はソファで少し休んでてください。お皿洗っておくんで」
そんな様子に気づいたんだろうか。村上が優しい言葉をかけてくれた。
「全然気を使わなくて大丈夫だから…」
「一緒に飲んでしっかりしてる時の方が珍しいんだから、たまには甘えてくださいよ」
「じゃあ…お願いします」
素直に彼女の言葉に従った。
ソファーからシンク越しの彼女を眺めた。
相変わらずのフェミニンな雰囲気に女性ながら癒されてしまう。
その視線に気づいたのか、彼女が目を合わせて首を傾げた。
「気持ち悪いです?」
「ううん、大丈夫。
村上、渡辺くんと何か進展あったの?」
酔った勢いで、少し大胆な発言をしてしまった。
その言葉を聞いて眉を上げる彼女。
「いやいや、何も進展ないですよ。
お友達としては仲良くなったし、なんか弟って感じかな。
それに話してて思うのは、完全に勘なんですけど…渡辺くん、多分勝也くんのこと好きなんじゃないかな」
斜め上の返答に、一気に酔いが覚めた。