Sales Contract



「先輩、めずらしく酔ってますね。いつも介抱されるほうなんで、今日はソファで少し休んでてください。お皿洗っておくんで」

そんな様子に気づいたんだろうか。村上が優しい言葉をかけてくれた。

「全然気を使わなくて大丈夫だから…」

「一緒に飲んでしっかりしてる時の方が珍しいんだから、たまには甘えてくださいよ」

「じゃあ…お願いします」

素直に彼女の言葉に従った。
ソファーからシンク越しの彼女を眺めた。
相変わらずのフェミニンな雰囲気に女性ながら癒されてしまう。

その視線に気づいたのか、彼女が目を合わせて首を傾げた。

「気持ち悪いです?」

「ううん、大丈夫。
村上、渡辺くんと何か進展あったの?」

酔った勢いで、少し大胆な発言をしてしまった。
その言葉を聞いて眉を上げる彼女。

「いやいや、何も進展ないですよ。
お友達としては仲良くなったし、なんか弟って感じかな。
それに話してて思うのは、完全に勘なんですけど…渡辺くん、多分勝也くんのこと好きなんじゃないかな」

斜め上の返答に、一気に酔いが覚めた。


< 295 / 310 >

この作品をシェア

pagetop