Sales Contract
「ホントに良いマンションよね〜…」
この人はうちに来るたびこんなことを言う。
「そんなこと無いわよ」
だからあたしもいつもみたいに返事をした。
ドアの前まで来て大事なことを思い出した。
勝也くんの私物が床に散らかってるんだった…
男と同居してると知られたら、相当やっかいだ。
「ごめん、今かなり散らかってるから5分だけここで待ってて!!」
無理やりその場に彼女を残し部屋に入ると、大急ぎで勝也くんの物というものを、全て彼の部屋に放り投げた。
思った以上にこの部屋は彼のもので溢れかえっていたことに気付く。
もうそれが当たり前になっているんだから、恐ろしい。