黒猫の願い事




「ハロウィンの魔法はジャックの三角目玉にすいこまれて闇の中!」



(えっ…!?)



それはあまりにも唐突で…
そして、あまりにも簡単で……



「……あ、あれ?」



僕はさっきと変わらず部屋の中にいて……



でも、僕の目の前には、真っ黒なアレクがいて……



「あ……も、戻ってる!
戻ってる!!
アレク!ありがとう!!
本当にありがとう!」



僕はアレクの身体を抱き締めた。
ふかふかで温かい。



「マイケル!どうかしたの?
サムが驚いてたわよ。」

「え…あ、あぁ、あれはアレクのお気に入りのロザリオなんだ。
最近、なくしてたみたいだったけど……」

「マイケル……あなた、なんだか少し雰囲気が変わったんじゃない?」

「そ、そんなことないよ。」

母さんはものすごく敏感だ。
でも、本当のことなんて、話せるはずもない。



(ごめんね、母さん……)







その晩のハロウィンは、とても楽しい一夜になった。
アレクには、でっかいチキンを振舞ってやった。
もう食べ飽きてるみたいだけど、僕からのささやかなお礼の気持ちだ。



「みんな…ちょっと聞いてほしいんだけど……」

「何なんだい、マイケル。」

「僕…明日、街に戻るよ。」

「えっ!?ま、まだ無理よ。
帰るならもう少し元気になってから……」

僕は首を振った。



「僕はもう大丈夫だから、安心して。」

「じゃあ、わしがついていこう。」

「一人で大丈夫だよ。」

僕がそう言うと、みんな、心配そうな顔をするだけで、それ以上、何も言うことはなかった。





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