黒猫の願い事




「アレクーー!
どこにいるんだーー?」



アレクはなかなか戻って来なかった。
昔から自由な猫だったから、遅くまで戻って来なかったり、長い時には数日戻って来ないこともあったけど、離れて暮らすようになると、妙に気にかかる。
そもそもアレクは、猫の中じゃもうけっこう高齢の方に入る。
そんなことを考えると、余計に心が騒ぐ。
彼になにかあったんじゃないかと、良からぬ心配をしてしまい、そのうち、落ちついて家の中にいることさえ出来なくなって、僕は家の外へ出て彼を探した。
今夜は満月……月明かりが明るい。




「アレクーーー!」

「みゃー」

「あ、アレクか!?」



聞きなれた子猫のような鳴き声と闇の中に光る二つの目……
アレクはかぼちゃ畑の中にいた。



「アレクーーー!
夜遊びばっかりしてないで、早く帰っておいでよ。」

「みゃー」

光る目がかぼちゃ畑の中からどんどん僕の方に近付いて来る。



「アレク!久し振りだね!
……あれっ?」

アレクの首にはなにか長いものがひっかかっていて……
ずりずりとそれを引きずっているのが、かぼちゃの間から見え隠れする。


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