黒猫の願い事
*
「はぁ、さっきはびっくりした。
まだ口の中がひりひりしてるよ。
人間はあんなに熱いものを飲めるんだね。」
部屋に戻ったアレクはさっきのことをそんな風に話した。
猫にはふーふーするなんて智恵がないから、あのまま飲んでしまったんだな。
アレクはけっこう賢い猫だと思ってたけど、やっぱり猫は猫だ。
(……っていうか、まだ覚めないのか、この夢は……)
「……ねぇ、マイケル…喜んでくれてる?
って、そんなにすぐにはわからないか。
僕ね……君に拾ってもらったこと、本当に感謝してるんだよ。
だから、でっかいチキンは諦めて、君の願いを叶えることにしたんだ。」
でっかいチキン?
僕の願い…?
全く意味がわからない。
一体、どういうことなんだ?
そりゃあ、夢っていうものは概してわけがわからないものだけど、ここまでの状況はやけに現実に基いてるじゃないか。
「ふぎゃぎゃぎゃーー」
「何?喜んでくれてるの?」
アレクは嬉しそうに微笑んで、ベッドに寝転び僕をお腹の上に載せた。
あぁ、あぁ、靴をはきっぱなしじゃないか……
「でっかいチキンを諦めた甲斐があったよ。
あ、そうだ!でっかいチキンは諦めなくても良いんだ!
僕は今人間だから、でっかいチキンが食べたいって思ったらいつだって食べることが出来るんだ!
良かった~!
叶えてもらえる願い事は一つだけだったから最後まで迷ったけど、君の願いを選んで良かった~!」
まただ…アレクは一体何のことを言ってるんだ。
それじゃあ、まるで僕が猫になりたいって言ったみたいじゃないか。
(……ん?)
僕の頭の中に、ほんの少し前のことが思い出された。
そうだ…アレクに愚痴ってた時のことだ。
そういえば、猫になりたいとか、気ままに暮らしたいとか言ったような気がする。
……うん、確かに言った。
なんて夢だ。
そんな事実に基いてこの夢は構成されてるのか……
まぁ、僕はけっこう几帳面なところがあるからな。
そういうのが反映されたんだろうな……
「あ!違う!
僕は、一度に三っつの願いを叶えたんだ!
あの時、僕は、マイケルに猫を体験させるために、僕の身体を貸すことにしたんだ。
そしたら、僕は自動的に人間になった。
つまり、僕はマイケルの願いを叶えた上に、僕自身が人間の生活を楽しめるようになって、その上、でっかいチキンも食べられるんだ!」
アレクは、独り言のようにそう言って、楽しそうに笑い始めた。
笑いの振動でアレクの身体が揺れて、僕はお腹の上からずり落ちた。
「はぁ、さっきはびっくりした。
まだ口の中がひりひりしてるよ。
人間はあんなに熱いものを飲めるんだね。」
部屋に戻ったアレクはさっきのことをそんな風に話した。
猫にはふーふーするなんて智恵がないから、あのまま飲んでしまったんだな。
アレクはけっこう賢い猫だと思ってたけど、やっぱり猫は猫だ。
(……っていうか、まだ覚めないのか、この夢は……)
「……ねぇ、マイケル…喜んでくれてる?
って、そんなにすぐにはわからないか。
僕ね……君に拾ってもらったこと、本当に感謝してるんだよ。
だから、でっかいチキンは諦めて、君の願いを叶えることにしたんだ。」
でっかいチキン?
僕の願い…?
全く意味がわからない。
一体、どういうことなんだ?
そりゃあ、夢っていうものは概してわけがわからないものだけど、ここまでの状況はやけに現実に基いてるじゃないか。
「ふぎゃぎゃぎゃーー」
「何?喜んでくれてるの?」
アレクは嬉しそうに微笑んで、ベッドに寝転び僕をお腹の上に載せた。
あぁ、あぁ、靴をはきっぱなしじゃないか……
「でっかいチキンを諦めた甲斐があったよ。
あ、そうだ!でっかいチキンは諦めなくても良いんだ!
僕は今人間だから、でっかいチキンが食べたいって思ったらいつだって食べることが出来るんだ!
良かった~!
叶えてもらえる願い事は一つだけだったから最後まで迷ったけど、君の願いを選んで良かった~!」
まただ…アレクは一体何のことを言ってるんだ。
それじゃあ、まるで僕が猫になりたいって言ったみたいじゃないか。
(……ん?)
僕の頭の中に、ほんの少し前のことが思い出された。
そうだ…アレクに愚痴ってた時のことだ。
そういえば、猫になりたいとか、気ままに暮らしたいとか言ったような気がする。
……うん、確かに言った。
なんて夢だ。
そんな事実に基いてこの夢は構成されてるのか……
まぁ、僕はけっこう几帳面なところがあるからな。
そういうのが反映されたんだろうな……
「あ!違う!
僕は、一度に三っつの願いを叶えたんだ!
あの時、僕は、マイケルに猫を体験させるために、僕の身体を貸すことにしたんだ。
そしたら、僕は自動的に人間になった。
つまり、僕はマイケルの願いを叶えた上に、僕自身が人間の生活を楽しめるようになって、その上、でっかいチキンも食べられるんだ!」
アレクは、独り言のようにそう言って、楽しそうに笑い始めた。
笑いの振動でアレクの身体が揺れて、僕はお腹の上からずり落ちた。