黒猫の願い事
「あ、マイケル…
もしも、また人間に戻りたくなったら、言ってね。」

「にゃ?」



や、やった!
ついに元に戻って、夢から覚める時がやってきた!



「ハロウィンの日にだけ、かけた魔法を解くことが出来るんだって。」



……は?
ハロウィンの日って……今日じゃないのか?
ま、まさか…次の年のハロウィンなんて言わないよな…?
……って、何を心配してるんだ?
これは夢じゃないか。
別に、本当に一年待たされるわけじゃない。
そう…目が覚めたら、この悪夢は終わるんだ…!



「でも、どうしてあの魔女、あんなに優しかったんだろう…?」

魔女……?
なんとも、ファンタジックな夢だな。
あ、そうか、ハロウィンだから、きっとその影響だな。
まさか、今度はかぼちゃのおばけが出て来たりしないだろうな……



僕がそんなことを考えていると、すーすーという静かな音が聞こえて来た。
ふと見ると、僕が寝てる。
服を着たまま、靴まではいたまま、灯りも消さずに身体をまるめて……

そうだ!
ここで僕も寝てしまえばもしかしたらそれでこの夢が終わるのかもしれない。
僕は、アレクのいつものお気に入りの場所に移動して身体を丸めた。
なんだか、今日は疲れたよ。
長い間運転して、しかもこんな奇妙な夢を見て…あれ?おかしいな。
夢の中でまた眠るなんて……
そんな矛盾を感じながらも、僕はいつの間にか眠りに落ちていた。

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