山田さんはOを飼っています。         【Q】Oとは?








「俺にとってオマエを喜ばす事は挑戦だったんだ。」





机に顎を乗せて不貞腐れた顔でそう言ったジロー。





『天王寺』のステータスにも靡かない、

外見にも絆されない。


なら絶対いつか『きゃ~。さすが天王寺凰志郎だわ』って言わせてやるって思っていた―――







「だけど…まぁ、それって単にオマエにイイ男だって認められたかっただけだ。悔しいって気持ちで見えなかった本音は、単純にどーしたらオマエの喜ぶ顔が見れっかな、だな。」




コタツの中で伸びてきた手が私の手を捕える。





「離れてたって傍にいたって頭ん中占めてんのはいつも小町のコトで。本当にイヤなら逃げりゃ済む話なのに全然そんなん考えたコトもなくて。挙句にオマエにしかその気になんなくて、…決まりじゃん?」







絡んだ指先に―――心まで繋がる。




ああ、そうだ。





傍若無人でいてこの手はいつだって優しかった。




この男はいつだって私を大切にしてくれてた。



< 277 / 354 >

この作品をシェア

pagetop