秘め事……
部屋の最奥にある、重厚感溢れる大きな司書机には、理知的な雰囲気の女性司書が腰掛けて、隣には先程本を返却しに行ったはずの彼が腰掛けて、時々パソコンにデーター入力している司書にちょっかいをかけては互いに目を見交わし、クスクスと笑い合う。
その様子をこっそりと本棚の陰から伺う私と男。
「やはり、思った通りね」
「ああ……。お前のお陰ですぐにでも令状が取れそうだ」
男は本棚の本と本の隙間から、小型のカメラを取り出し、戯れる二人の姿を何枚も撮影している。
「私は彼がラウンジカフェに戻って来る前に行かないと……」
「おい。くれぐれも気をつけろよ。その……。あいつと何か間違いが起きない様にな」
先程までナイフの様に研ぎ澄まされた雰囲気だった男が、情けないような表情で不安気に私を見つめた。
「心配しなくても大丈夫よ。プラトニックな関係をキープしてるし……。あなた以外間違いは起きないって」
「こいつ……」
お互いにアイコンタクトで甘く見つめ合いながら、私は戻って行った。
そう、彼は女性司書に接近して彼女のIDを盗んで、サイバーテロを仕掛けようとしている犯人。私は彼におとりで恋人のふりをして近付き、情報収集していた捜査官。そしてあの男は、同僚でもあり、恋人でもある人。
この事実を彼は知らない……。(笑)
《Fin》
その様子をこっそりと本棚の陰から伺う私と男。
「やはり、思った通りね」
「ああ……。お前のお陰ですぐにでも令状が取れそうだ」
男は本棚の本と本の隙間から、小型のカメラを取り出し、戯れる二人の姿を何枚も撮影している。
「私は彼がラウンジカフェに戻って来る前に行かないと……」
「おい。くれぐれも気をつけろよ。その……。あいつと何か間違いが起きない様にな」
先程までナイフの様に研ぎ澄まされた雰囲気だった男が、情けないような表情で不安気に私を見つめた。
「心配しなくても大丈夫よ。プラトニックな関係をキープしてるし……。あなた以外間違いは起きないって」
「こいつ……」
お互いにアイコンタクトで甘く見つめ合いながら、私は戻って行った。
そう、彼は女性司書に接近して彼女のIDを盗んで、サイバーテロを仕掛けようとしている犯人。私は彼におとりで恋人のふりをして近付き、情報収集していた捜査官。そしてあの男は、同僚でもあり、恋人でもある人。
この事実を彼は知らない……。(笑)
《Fin》