河の流れは絶えず~和泉編~
相手の彼女とは少し距離をおいて話を始めた。

彼女は大野木和子と名乗った。

肩まである黒髪、意思の強そうな眉、その立ち居振る舞いに華がある、どんな男でも目に留める、そんな感じの子だ。

「手紙、読んでいただけましたか?」

と再度聞かれた。

「ああ、読みましたよ。」

彼女はいくぶんほっとした様子だった。

「わたくしの気持ち、おわかりいただけましたか?」

しごく真剣に聞いてくる。

「わかったけれど」

「じゃあ、いいんですのね?わたくし、あなたのことがずっと」

言いたいことがわかったのであわてて制した。
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