河の流れは絶えず~和泉編~
けれど、すぐさま、俺の腕にしがみついてきた。

「!!なんだよ!?」

振り向いた俺に彼女が必死の体で縋ってくる。

「どうしても、だめだとおしゃるのですか?」

目に涙を溜めて言ってくる。

涙は女の武器だ、と昔、先輩から聞いたことがあった。

本当にそうだった。

自分のために泣く涙だ。

「すまない。」

そう言いながら、腕を解いてその場を去った。
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