河の流れは絶えず~和泉編~
其の拾 本気の自覚
人を好きになる気持ちがわからないわけじゃない。

だが、俺に彼女の気持ちをどうにかすることはできない。

例え真剣に想ってくれている人が現れたとしても、やはり俺は、俺の気持ちは変わらない。

ここへきて、沢 夏葉という女への想いというものが俺の中でどれだけ占めているのかをまざまざと思い知らされた感がある。

自覚がなさすぎた。

だから、あの夜、止めることができなかったんだと思う。

俺の中の“男”が彼女を求めたんだ、、、。

これから先、彼女と一緒いてこの気持ちを抑えることが果たしてできるのだろうか。

あの子のあの目を見つめただけで、体に触れただけで沸き立つこの感情をこれから抑えていくことができるのだろうか。

正直、自信を失いかけてきている。
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