河の流れは絶えず~和泉編~
其の拾弐 女の悋気
ひとつ
おうぎやから帰って来て、夕飯を食い、その後、風呂をいただいてから、縁台で麦湯を飲んでいた。
ひとりになると、最近はもう彼女と過ごした時を振り返るのが常になっていた。
このところ、毎日会って、勉強を教えると言う口実をうまく利用して、俺は彼女の側にいた。
本当に体がくっついてもいいくらいの近さに座り、彼女のしぐさや息遣いを感じていた。
それでもあんな場所でも俺の理性はフルに稼動してくれて、彼女に変なことをせずに済んだ。
部屋から持って来た煙草を取り出し、火を点けた。
一番初めに吸い込む煙の芳香にいくらか酔う。
しばらく、何も考えずに煙草の味を堪能していると、奥から足音がしてき、
「浩ちゃん、桃、食べるかい?」
そう言いながら、下宿のおばさんが、きれいな切り子のガラス鉢にこれから盛りになるであろう桃を盛り付けて、持って来た。
ひとりになると、最近はもう彼女と過ごした時を振り返るのが常になっていた。
このところ、毎日会って、勉強を教えると言う口実をうまく利用して、俺は彼女の側にいた。
本当に体がくっついてもいいくらいの近さに座り、彼女のしぐさや息遣いを感じていた。
それでもあんな場所でも俺の理性はフルに稼動してくれて、彼女に変なことをせずに済んだ。
部屋から持って来た煙草を取り出し、火を点けた。
一番初めに吸い込む煙の芳香にいくらか酔う。
しばらく、何も考えずに煙草の味を堪能していると、奥から足音がしてき、
「浩ちゃん、桃、食べるかい?」
そう言いながら、下宿のおばさんが、きれいな切り子のガラス鉢にこれから盛りになるであろう桃を盛り付けて、持って来た。