河の流れは絶えず~和泉編~
「うん、時間がないからおやじさんの言ったのを書き写しただけだけど。」

そう言って俺を見た彼女の顔は、本当に嬉しそうだった。

「ありがとう。」

「え?」

「あたしのために、、、」

互いの目が合い、視線が入り混じる。お互い、その先の言葉をうまく見つけられずにいる。

「、、、うん。」

、、、、なんと言うのか、誰かの役に、いや好きな女のために何かをするというのは、こんなに俺の心を嬉しさで満たしてくれるのだ。

それを感じて、女を好きになることもいいものなんだと思った。
< 172 / 183 >

この作品をシェア

pagetop