河の流れは絶えず~和泉編~
「髪をきちんとお拭きなさいよ、これから人に会うってのにそんなんじゃあ、みっともないやね。櫛もきちんと入れるんだよ、男だからっていい加減にしてちゃあ、男が下がるよ。お気をつけ。」

「へいへい、おばさん。多分帰りは夕方になるよ。土産に何がいい?」

「そうさねえ、柏餅でも買ってきておくれよ。」

「柏餅か、、、。それなら扇やだなあ。あすこの餅が一番うまい。」

「そうさねえ、久しぶりに扇やさんのをいただきたいねえ。ああ!そうそう、浩ちゃん、郵便受けにさ、あんた宛に手紙が来ていたよ。」

とおばさんは手紙を一通渡してくれた。

宛名に書かれた字を一目見て誰だかわかった。

一度、同じ人から手紙を貰ったことがある。

たいしてよく知らない女からだった。
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