河の流れは絶えず~和泉編~

みっつ

 下へ降りると、先程の客足はだいぶ遠のいて、講義のサボり組みが屯(たむろ)していた。

俺たちを見るなり、見ろよ、と言わんばかりの態度でふてぶてしく座っているのもあれば、関心のない奴らがゲラゲラと馬鹿笑いしていたりもする。

ひそひそと話しているものもあるし、気安く手を挙げてくる奴もある。

すると、むこうの席から同じ学年の飯塚がやって来た。

実はこいつは彼女に熱をあげている奴のひとりだった。

態度が非常に横柄で、林太郎なんぞはこいつを毛嫌いしていて、以前、彼女との仲を取り持って欲しいと頼んだ時には、おまえなんぞに妹はやれんぞ、と竹刀を持って追いかけた廻されたくらいだった。
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