河の流れは絶えず~和泉編~
「あの」

彼女は幾分、足をもつれ気味にしている。

「後ろを見ちゃだめだぜ?」

この場を早く離れるために、早足で店を出た。

「でも、お代を払わないと」

いらぬ心配をしている。

「今日は付けでいいさ。」

すると、

「少しゆっくり歩きませんか?」

と言ってきた。

「ああ!すまん!歩幅の違いを考えなかった。ごめんな、いやな思いをしただろ?」

このときは、本当にそんなことにまで気を配ってやる余裕がなかった。
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