河の流れは絶えず~和泉編~
「雨の日に?鼻緒を、浩さんが直したんだって?ええ~っ!!ほんとの話かい、そりゃ」

と、何度も聞いてくる。

「そうよ、嘘なんかついてどうするのよ?」

いったいなんだというのか。

「そうさね、若い人はもう知らないと思うけれど、あたし達より年上じゃあね、’鼻緒の縁‘という言い伝えがあってね、なんでも雨の日に鼻緒を直し、直された男と女は必ず夫婦になるんだそうだよ。実際、それが縁で結ばれた人が何人もいるからさ、あながち嘘でもないんだよ。」

女将さんはそう言いながら、俺たち二人の顔を交互に見た。

最後に俺の方をもう一度見、含みを持った目で見ている。

そうか、それであんなに驚いていたのか、、、。
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