河の流れは絶えず~和泉編~
ちょっとは気があるのかと期待をしていたが、今の様子であっさり打ち砕かれた。

いまは無理なようだ。

「沢さん。」

と、呼んだ瞬間、目が合った。

「はい。」

しばらく見つめ合っていた。

彼女はみつまめの鉢を卓に置き、

「ごめんなさい、おばさんたら口が悪いというのか達者というのか。佐脇さん気を悪くしたんじゃあないですか?あんな変なこと言って、佐脇さん、困ったんじゃあないですか?」

ご丁寧にも駄目押しに止めを刺してくれた。

まあ、そんなにうまくいくわきゃあない。

しかし、俺の中でもうすでに彼女はかなりの部分にまで浸透してきている、それがよくわかった。

久しぶりに傷ついた、という感情が解かったからだ。
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