河の流れは絶えず～和泉編～

慌てて、彼女の手を取って見てみた。

何かで手のひらを２、３箇所刺した後があり、雨が尚一層、出血を早めているようだった。

「どうしたの、これ？血がひどいね。」

｢さっき躓いたときにとっさに掴んだのが、有刺鉄線だったから。｣

うわぁ、、、、、。

「あらら。うーん。あんまりきれいじゃないが止血代わりに。いやその前に。」

傷口が化膿するといけないと思い、傷口に口を当て、血を吸い出した。

そのあと、残りの手ぬぐいを巻きつけ、

「とりあえず、こうしておくから、帰ったら消毒しなね。」

そう言った。

「はい、あの、ありがとうございました。」

「じゃあ、僕は、これで。」

とっさに出た言葉は別れのあいさつだった。

絶好の機会を無にするようなことをしている自分が情けなかったが、止まらない。