河の流れは絶えず~和泉編~
しかし、気を落ち着けて、声を幾段落とし気味に言った。

「こちらへお持ちするように言われたので、入りますよ。」

と襖を開く瞬間、彼女と目が合った。

その時の彼女の顔はまさに予期せぬものを見たといった具合に目を見開いていた。

「えっっ!?さ」

咄嗟に彼女の言葉を制して、中へ入った。

まだ彼女は信じられないと言う顔をそのままに俺を見ていた。

彼女の側に座りながら持ってきた盆を卓に置いた。
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