うしろから、抱きしめて……
再び・・・
母校の校門にひとり立つ。
懐かしい匂いが、風とともに私の顔を撫でていった。
演劇部の総顧問、野々垣先生から連絡が来たのは一週間前。
南海学園創立100周年イベントの一環で、演劇部に講演依頼があったらしい。
そこで今回は、現役部員だけじゃなく卒業生の参加も決めたから、私に脚本と演出を頼めないかと言ってきたのだ。
正直、迷った……。
5年前の卒業式の日。
私は演劇部顧問で担任、そして愛しあっていた宮野先生の前から、12歳という歳の差に苛まれ、何も言わずに消えてしまったのだから……。
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