うしろから、抱きしめて……
再び・・・


母校の校門にひとり立つ。

懐かしい匂いが、風とともに私の顔を撫でていった。



演劇部の総顧問、野々垣先生から連絡が来たのは一週間前。
南海学園創立100周年イベントの一環で、演劇部に講演依頼があったらしい。

そこで今回は、現役部員だけじゃなく卒業生の参加も決めたから、私に脚本と演出を頼めないかと言ってきたのだ。


正直、迷った……。


5年前の卒業式の日。


私は演劇部顧問で担任、そして愛しあっていた宮野先生の前から、12歳という歳の差に苛まれ、何も言わずに消えてしまったのだから……。





< 1 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop