LoVe LeTtEr
また、切るような冷たい風が当たって、
現実に引き戻される。
…″1人″って、現実。
媚びを売ってまで、
誰かに側に居て欲しい訳じゃ、ない。
だけど俺の側に居てくれよう とする人達は、
俺に何か別の物を、求めてるから。
″何かが違う″…
…そう、思ってたから。
″本当に必要な誰か″が現れるのを、
ずっと、待っていた。
「…貴史くん!」
振り向くと
″やっぱり″と言うか…、
追い掛けて来たのは、例の彼女だった。
「あー…、リアちゃん だっけ。
どーしたの?」
動揺を悟られないように、
わざと素っ気なく返す。
でもリアちゃんは そんな俺を、
また穴の開く程じっと見つめたか と 思うと、
その顔に、天使のような笑顔を浮かべた。
「…っ」
その笑顔で俺は…、悟った。
近づかない方がいい という警報が何度 鳴り響いても、
結果 俺は、彼女に近付いて行くのだろう…と。
彼女は にこにこ したまま、
促すように、手を伸ばす。
「…外、寒いから」
「………」
「…病院の中は、″適温″でしょ?」
そう言って、
俺の手を取った。
初対面で手を繋いだ…のに、
何の違和感もない。
彼女の纏っている空気は、この寒空の下、
ほんわか と、温かった。
その温かさと、彼女 自身に惹かれて…、
気付いたら答えていた。
「……そっか。
ありがとう」