LoVe LeTtEr




「ヒカリさん……、つかぬ事を お伺いしますが…」




「何?


改まって 笑」






「その眼鏡は、本物ですか?」




「ん?


あ、あぁ これね!


これは本物。


伊達じゃないよ~」




一瞬、私の質問に戸惑ったのか固まったけれど、

すぐに笑顔を取り戻して、自分の掛けている眼鏡を触りながら言う。






「私、視力は良い方なんで、眼鏡には縁が ないんですけど……」




「…うん?」






「ちょっと どんなもんか掛けさせて貰っていいですか」




「うん?


別に いいけど…」




よく考えたら前後の文が全く繋がってなかった けれど、

勢いで押し切ったら、景さんが不思議そうな顔を しながらも、

掛けていた眼鏡を外して、こちらに渡してくれた。




景さんの顔が小っちゃいから、

男物だと言うのに、サイズは ぴったり だった。


でも思った通り、度数は私にはハンパなく強くて、

頭が くらくら する。


やっぱり…、景さんの視力は相当 悪いみたい…。






「ちょ、大丈夫?」




「あ…はい。


すみません…」






「謝んなくて いいから 笑


…やっぱ、俺のじゃ強過ぎでしょ?


大丈夫?


つか、急に どうした?笑」




「……いえ……。


何でも ないです、すみませんでした。




あの…、

ヒカリさん、私に何か用事が あったんですよね?


何ですか…?」






「ん?


…あ、あぁ!




…これ。


また新しいの出来たから、サナに聴いて貰おうと思って」






思い出したように差し出されたヘッドフォンから聴こえて来たのは、

やっぱり、綺麗だけれど もの悲しい…″景さん″の曲。


景さんが愛して やまない、景さんの寵愛を一身に受けている、″彼女″に贈られた歌。




景さんは ずっと、彼女に曲を贈り続けてる。


ずっと ずっと、

最初は気付かなかったけれど

私に初めてピアノを聴かせてくれた″あの時″から、ずっと。





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