LoVe LeTtEr




「佐々倉ぁー、ちょっと来てー」




「あ、はぁい!




……ヒカリさん、すいません。


私 行かないと…」






「うん、いいよ。


行っておいで」




「バタバタしてて すみません。


でも…、

曲は相変わらず素晴らしかったです!


よかったら、また聴かせてくださいっ」






「…うん。


また、よろしく」




穏やかな笑顔で、景さんが言った。


目が合わないのは…、

私の事が見えていないから、じゃないよね…?






他のスタッフの、″佐々倉ぁー″って語尾が下がる呼び方と明らかに違う、

景さんの″サナー?″って呼び方。


そこに居るのが見えていないような、不安げな呼び方の真相が知りたかった けれど、

結局 訊けなかった。


私には、景さんの眼鏡を掛けてみて、

視力が どの程度なのか推し量るのが、精一杯。




…もし私が真正面から向き合えたら、

景さんは正直に答えてくれるのかな……?





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