LoVe LeTtEr




「あ、

佐々倉ちゃん、お疲れ~」




声を掛けられて振り向くと、

うちのバンドの もう1人のマネージャーが、居た。


…そう言えば今日は、

茜さんのギター探しを手伝いに、一緒に楽器屋さんに行くって、言ってた。


…時間的に、

今から事務所を出て、茜さんを迎えに行くところ なのだろう…、

急いでいるよう だったから、私も急いで話し掛けた。






「お疲れ様です。


あのっ…、ヒカリさん見ませんでしたか?」




「景くん…?」




マネージャーは不思議そうな顔をして、思い出すように目を上に向けた。






「いや、見なかったかなー…。


…あっ、でも景くんか どうかは分かんないけど、

バンドマンっぽい子なら、さっき あっちに入ってったよ」




マネージャーが指差す先には、…倉庫。






「…ありがとうございますっ」




返事も そこそこに、私は走り出していた。


後から、″だから景くんか どうかは分かんないって!″と言うマネージャーの声が聞こえたけれど、

気にせず、なぜか鍵の開きっ放しの倉庫のドアを思い切り開けて、中に飛び込んだ。





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