LoVe LeTtEr




「もう…、いいです。


…でも今度からは ちゃんと、

どこ行く って言ってってくださいね?」




「…はぁい…」




念を押すように言うと、景さんが子供みたいに小さく返事した。




…景さんの こういう所には、敵わないと、思う。


強くて しっかり しているように見えて少し抜けている所が あったり、

人の言う事を全然 聞かないように見えて すごく素直に聞いてくれたり。


このギャップに、

ファンの子だけでは なくて、スタッフの皆も好印象を持つみたいなのだ けれど…、

…分かる気がする…。


だって、こういう時の景さんは、滅茶苦茶 可愛い。






「…サナ?


じゃあ もう戻ろー?


俺、用事 終わったし」






…そう言えば…、

景さんは何の為に、ここに居たのだろう。


一瞬そう思ったけれど…

訊いたら何かが壊れる気がして、訊けなかった。


私は また、景さんと真正面から向き合う事が、できなかった。





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