ギャップしおりん
思わず夕焼けに見とれてしまう。
オレンジ色の太陽がすごく綺麗に見えた。
「しーおりん♪」
誰かが私の名前を呼ぶ。
私は、立ち上がってその人を見る。
「…誰?」
近づいてきたのは、私の知らない奴だった。
「隣のクラスの実くんだよっ♪みのるん♪」
「いやいや私あんたのことなんか知らないから」
「酷いな~♪昨日しおりんに話しかけたけどしおりんシカトっちすんだもん」
…そう言えばこんなチャラそうな奴が話しかけてきたような。
髪をワックスでガチガチにかためてセットして、制服をだらしなく着くずしている。
「あんたのその喋り方マジ何?
その髪型も頑張ってるみたいだけど全然似合ってないっすよ」
「やばいんですけど♪マジやばいんですけど♪♪しおりんのその顔に性格のギャップがたまんね~♪ねぇ、俺と付き合ってよ」
軽すぎだろ、おい。
お前はMかよ、って言いたくなるくらいドMだ、こいつ。
「無理」
「お願いだからさ♪ねっ?」
そう言って、チャラ男は私を強引に引き寄せる。
プールオムの香りがした。
私は香水がすっごぐ苦手。
「離せっ!」
私が抵抗をするたびに、抱き締める力を強める。
酔いそう、この匂いに…
助けて、…助けて。
「岡崎!」
なに、私岡崎の名前出してんだろ。
バカみたい。呼んだって助けに来るわけない。
「止めろよ。水谷が嫌がってんだろ」