ギャップしおりん
その声とともに、プールオムの匂いが消えた。
目を開けると、岡崎が片手でチャラ男の両手を掴んでいた。



「いって。てめぇしおりんの何だよ?」


チャラ男が岡崎の手を振り払いながらさっきのあのおちゃらけた雰囲気は一変、岡崎の胸ぐらを掴み怒鳴りだした。



「何って?俺は栞里の彼氏だけど?」


はっ?
いつ誰がお前の彼女になった?



「ちっ、いてっ」


私が否定しようとしたら、岡崎に引っ張られた。
…そっか。ここで否定してしまったらこのチャラ男のいいようにされてしまう。



「しおりん、ほんとぉ?」


「ほんとだから。私に一生関わんないでくれる?」


「じゃあ、これで諦めてあげる♪」


チャラ男は私を自分の方にグイッと引き寄せると私の頬に軽くキスをした。



「じゃぁねん、しおりん♪」


チャラ男は不敵な笑みを浮かべて、校門から出て行った。
私はキスされた頬をタオルでゴシゴシ拭いた。



「マジありえねぇ…」


「水谷も災難だね。モテる奴は大変だな」


「うっさい!あんたがもっとはやく来てくれればこんな事にならなかったのに」



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